この章で理解したいこと
- スーパーのキャリア発達理論を引き継いだキャリア構築理論
- 職業パーソナリティ「What」、キャリア・アダプタビリティ「How」、ライフテーマ「Why」を提唱
- ライフテーマを明確化するためにキャリア構築インタビューで5つの質問をすることを提唱した
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サビカス先生は、キャリア発達を「意味のあるストーリー」と定義して、ストーリーがあることにより人は変化に直面した時に柔軟に一貫性を保てると説きました。
サビカスって誰?
サビカス(マーク・L・サビカス)は、アメリカのキャリア心理学会を代表する学者で、パーソンズ、ホランドのマッチング理論やスーパーのキャリア発達理論を統合、発展したことで有名です。
キャリアコンサルタント養成講座の中でもビデオメッセージが授業に組み込まれていた方もいるのではないでしょうか?
サビカスの職業的パーソナリティ(What)とは?
職業的パーソナリティとは、個人のキャリアに関連する能力、ニーズ、関心、価値観など、その人を表す人間性のことです。
ただし、パーソンズの特性因子理論は、すでにある環境と人の特性のマッチ度によりキャリアはより良くなると言っているのに対して、職業的パーソナリティは、人と環境の適合度は、時間と共に変化するもので、人のキャリアに対する能力やニーズ、関心、価値観は、あくまでもその人の主観的な考え方であると説明しています。
パーソンズは、仕事と個人のマッチが良いと考えているのに対して、サビカスは仕事がより良くなるかどうかはその人の価値観次第であると言っているように思いますね。
サビカスのキャリア・アダプタビリティ(How)とは?
キャリアアダプタビリティとは、「現在、あるいは直近の職業的発達課題、職業的移行、個人的トラウマに対処するための個人のレディネス及びリソース」と定義されています。レディネスとは準備が出来ていることです。
サビカスは、人は完全に環境(職業、キャリア)とマッチすることはないと捉え、人と環境に対する捉え方を柔軟に変化させていくことが重要と説きました。そして、人と環境(職業、キャリア)をできるだけ適合させるために、以下の4次元の発達課題を考えることが大切であるとしました。
4次元
- 関心:未来志向で未来に備えること
- 統制:自分のキャリアに対して責任を持つこと
- 興味:自分と職業の適合性を高めるため自分で能動的に調べること
- 自信:過去の成功体験に基づく自己効力感、自己肯定感、成功イメージを持つこと
つまり、自分の未来(関心)を、自分自身の手(統制)で、自分の望む道(好奇心)に向けて、切り開いていく成功イメージ(自信)を未来志向で持つことです。
サビカスのライフテーマ(Why)とは?
ライフテーマは、なぜその職業を選択したのかを自分自身の中で探ってゆくことです。
誰しも身に覚えがあると思いますが、転職や仕事探しをするときに、なぜその職業を選んだのか、自分の意味づけをしますよね?
その時その時で、何の意味もなく選ぶ分けではありません。自分なりに一貫したキャリアに対する意味や価値観があるはずです。その主観的な価値観をライフテーマと呼びます。
特に転職が上手くいかない時や仕事が上手くいかずに将来を考える時、自分のライフテーマを振り返ることが大切です。
参考
キャリアに対する小さなストーリー(マイクロ・ナラティブ)を通してキャリアを再構成し、大きなストーリー(マイクロナラティブ)へ再構成しhた上で、ストーリーの中に次のエピソードを構築する作業をキャリアストーリーと呼びます。
※ナラティブとは、「物語」のことです。つまり、人は自分の仕事に対する小さな物語をたくさん作っていく過程で、大きな仕事の物語へと昇華し、最終的にでは次は自分えどんな物語を紡いでいこうとストーリーを作っていきます。
サビカスのキャリア構築インタビューとは?
キャリア構築インタビューとは、その人のライフテーマを明確化するために行うカウンセリングで行う5つの質問のことです。
このインタビューは一種のアセスメントであり、ここで語られるライフテーマをその人の価値観としてカウンセリングに役立てます。
5つの質問
- ロールモデル:自分がこうなりたいと考える自己概念
- よく読む雑誌やテレビ番組:職業的な興味
- 好きな本や映画:自分の願望
- 好きな格言やモットー:自分の励ましになること
- 幼少期の思い出:ベースになるストーリーの探求
キャリア構築インタビューでは、これらの質問を行うことで、相談者のライフテーマが明らかになり、その人の働き方にあったキャリア構築を目指せると考えたのです。