キャリア理論

【キャリア理論】スーパーの理論(自己概念とライフキャリアレインボー)

この章で理解したいこと

  • 自分はどんな人間かの自己イメージを自己概念と呼び、特に職業に関するものを職業的自己概念と呼んだ。
  • 人生を5つの発達段階(ライフステージ)に分類し、9つの役割(ライフロール)を演じるとした。
  • 一生に渡るライフステージをマキシサイクルと呼び、そのトランジション(移行期・過渡期)をミニサイクルと呼んだ。
  • ライフステージとライフロールを図解したライフ・キャリア・レインボーを作成した。

自分はこんな人間だ!とそれぞれ自分に対する捉え方は違いますよね。この捉え方のことを自己概念と呼びます。同様に仕事に対する捉え方も人それぞれ。それが職業的自己概念です。そして、多くの人は自分自身の仕事に対する考え方(職業的自己概念)を実現しようとし、その実現具合が仕事に対する満足度につながります。

スーパーって誰?

スーパー (ドナルド・E・スーパー)は、1910年7月10日にアメリカのハワイ州ホノルルで生まれ、1994年に亡くなるまで、個人のキャリアの段階や、キャリアはある場面でどのような役割を果たすのかを研究したコロンビア大学の名誉教授です。

スーパーの自己概念

自己概念は自分の自分自身に対するセルフイメージと言い換えることができるでしょう。自分はどんな人間で、どのような性質があって・・・。そんなイメージです。

自己概念は、自分自身が自分に対してもつ主観的自己概念と、他人からのフィードバックにより形成される客観的自己概念が存在します。これらが統合され、一つの自己概念が形成されています。

そんな自己概念ですが、以下の2つの特徴が存在します。肯定的自己概念と否定的自己概念です。

  • 肯定的自己概念・・・積極的に適応し成長する力がある。→ こちらの方が望ましい。
  • 否定的自己概念・・・消極的で自信がない。

スーパーはそこに「職業的自己概念」という考え方を加えました。

スーパーは、人は職業選択を通じて自分の「職業的自己概念」を実現すべく仕事をすること、あるいは「自己概念」の実現の手段として職業を選ぶと考えました。

また、パーソンズの提唱した特性因子理論と自己概念の理論を統合することで職業発達ができると説きました。

ポイント

この章では詳細はお話ししませんが、キャリア発達の研究成果を「14の命題」としてまとめました。この14という数値はしっかり覚えるようにしましょう。

スーパーの5つのライフステージ

スーパーは生涯を5つの発達段階に分類し、それぞれの発達段階にそれぞれ課題があると説きました。

5つのライフステージ

段階年齢発達課題
成長期 (背)0-15歳自分がどのような人間か知り、職業に対して積極的になり、働くことに理解を示す。
探索期 (た)16-25歳具体的な希望の職業を明確化し、訓練を受けるなどして職業に就く。
確立期 (か)26-45歳キャリアの初期段階。特定の職業に定着し、専門性や地位を高める段階。
維持期 (い)46-65歳確立した地位をを維持する段階。キャリアの成功を実感できる人もいる。
衰退/解放期 (すか)66歳以降下降期ともいう。職業から退職し余暇を過ごしたり、地域活動をする。

「背高いすか」と暗記しよう!

マキシサイクルとミニサイクル

5つのライフステージをマキシサイクルと呼びます。そして、その過渡期(移行期)に起こる出来事をミニサイクルと呼びます。

例えば、維持期に定年退職し、新しい職業に就く場合もありますし、転職や学校へ戻るなど過渡期に別の段階を経験することもあります。このように各ライフステージから次のライフステージの間に成長期、探索期、そして確立するまでのミニサイクルが巡ります。

スーパーの9つのライフロール

スーパーは、人は人生のある年齢や場面ごとに様々な役割があると説きました。

この年齢、場面、役割を虹を使って表現し、ライフ・キャリア・レインボー(ライフキャリアの虹)として図解しました。

役割内容
子供親に対しての子供です。そのため親との関係性において生涯に渡って続く場合があります。
学生学生ですが、社会人になってから再度学生に戻る方もいます。
余暇人趣味や地域活動を愉しむ状態です。
労働者仕事をする状態です。
配偶者夫婦を形成している状態です。
家庭人家事や育児など家庭に勤しむ状態です。
子に対しての親の役割です。
年金生活者退職後に余生を過ごす役割です。

これらの役割を図に表しています。

ライフ・キャリア・レインボーの図を見る。

スーパーのアーチ・モデル

スーパーは晩年、ライフ・キャリア・レインボーを見直し、アーチ・モデル(キャリア決定要因のアーチの門)として図解しました。

アーチの左側は内的な個人的特性となっており、右側は外的な社会的特性となっています。

アーチ・モデルを見る。

左側の個人的要因は、パーソナリティであり、左側の社会的特性は、自分ではどうすることも出来ない環境要因になります。

ポイント

スーパーは頻出の理論です。以下の用語は必ず覚えましょう。

・自己概念 (職業的自己概念)
・5つのライフステージと9つのライフロール
・ライフ・キャリア・レインボー
・アーチ・モデル (左は個人、右は社会)

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